紙の通帳廃止を三菱UFJ銀行が発表
三菱UFJ銀行は、2019年6月10日(月)より、新規に口座を開設する場合、原則、紙の通帳は発行せず、デジタル通帳を使ってもらうようにすることがわかりました。
デジタル通帳とは、紙の通帳の代わりに、自分の口座の入出金履歴や残高がパソコンやスマートフォンなどのインターネット上で、閲覧できるサービスです。
目次
紙の通帳「見直し」が行われた狙いとは?
紙の通帳を廃止し、デジタル化をする1番の狙いは、銀行による、印紙税の負担の軽減です。
銀行は、紙の通帳を発行するのに、1口座あたり年200円の印紙税を、国税庁に納める必要があります。
言い換えれば、通帳の発行をしなければ、1口座あたり年200円の出費を抑えられるというわけです。
たかが200円と思うかもしれませんが、三菱UFJ銀行が抱える個人口座は、約4,000万口座(2015年現在※①)で、この中から、通帳を利用していないネットバンキング利用者を除いたとしても、印紙税だけで、毎年70億円以上負担していることになります。
金融業界では、厳しい収益環境が続き、経営の難しさを増す一方で、通帳のデジタル化によって、コスト削減を進める狙いがあるというわけです。
(※①)データ参照元:MUFGの概要|MUFGレポート2015|三菱UFJフィナンシャル・グループ
紙の通帳も有料ではありません
紙の通帳廃止というルールはあくまでも「原則」であり、希望者は従来通り、通帳を利用できます。
紙の通帳を発行するのが有料なのでは?という懸念もありましたが、今回、紙の通帳廃止を決めた三菱UFJ銀行では、無料で発行してもらえます。
ただし、もし今後、他の銀行が紙の通帳を廃止した場合は、有料での発行となる銀行も出てくる可能性も否めません。
平成28年には三井住友銀行が通帳レスの先陣を切り、今回の三菱UFJ銀行の発表は、それに追随する形となりました。
おそらく、今後、他の大手銀行や地方銀行も、通帳をデジタル化する流れがますます進むと思われます。
自分の場合は、デジタル通帳と紙の通帳、どちらの方が運用しやすいのかをじっくり考慮して、選んでください。
紙の通帳には手数料がかかる?
紙の通帳廃止の議論が高まり始めた当初、三菱UFJ銀行では、紙の通帳を利用する際に、前述の印紙税200円を預金者負担にするという案が出ていました。
しかし、2019年5月30日(木)現在、これについても、導入されないとしています。
したがって、たとえ、紙の通帳にしたからといって、余分にお金を取られるというデメリットはなく、デジタル通帳への切り替えも必須ではありません。
そのため、現時点では、「絶対にデジタル通帳にしなければならない理由はない」と考えていいでしょう。
紙の通帳のメリットとは?
デジタル通帳にすれば、「わざわざ銀行に行き、ATMに並ぶ必要もない」「いつでもどこでも口座情報を閲覧することができる」「通帳記帳や通帳繰越が不要」というメリットがあります。
しかし通帳のデジタル化が進む一方、やはり「紙の通帳を使いたい」という方も多いでしょう。
その理由は、紙の通帳にも多くのメリットが存在するからだと思います。
若い世代にとっては、スマホ・PC上のサービスは、あまり抵抗がないかもしれませんが、それでもやはり、ネット上にも「紙の通帳廃止」には、賛否の声が・・・。
紙の通帳廃止に賛成派
紙の通帳廃止に反対派
確かに、デジタル通帳には、多少のデメリットも存在するかもしれません。
しかし、三菱UFJ銀行では、紙の通帳を廃止したからといって、利便性の低下などはなく、むしろ、機能の強化を進めていくとしています。
eco通帳にしたら、紙の通帳との併用はできない
三菱UFJ銀行では、2012年からネットバンキングのサービスで、web上で入出金明細が見られる「Eco通帳」という機能があります。
今回、紙の通帳の廃止によって、このEco通帳を使うことになります。
この機能では、PCやスマホで、最長10年分の明細を閲覧できるというのが最大の特長です。
既に口座を持っていて、紙の通帳を持っている人は今まで通り、紙の通帳を使い続けることができますが、もしも、通帳を紛失してしまった場合には、このEco通帳への切り替えが推奨されます。
また、Eco通帳に切り替えをした場合には、紙の通帳は使用できなくなるため、デジタル通帳(Eco通帳)とアナログの通帳(紙の通帳)の併用はできません。
Eco通帳の詳細については、三菱UFJ銀行の公式サイトをご覧ください。