マイナンバー制度導入で副業がバレる?対策など徹底検証

お金のコラム

マイナンバー制度が導入されたことで「副業していることが本業の会社にバレてしまうリスクが高まったのでは?」と心配している方も多いのではないでしょうか。

結論としてマイナンバー制度が導入されただけでは、副業がバレるということはありません

ここでは、マイナンバー制度が導入されたことでどんな影響があるのか、副業がバレる原因、手渡しでもバレるのか、副業をバレにくくする対策などについて詳しくご説明していきます。

マイナンバー制度って何なの?

マイナンバーとは、住民票を持っている国民の一人ひとりに割り当てられた12桁の個人番号のことであり、マイナンバーによって個人情報の管理がされます。

割り当てられたマイナンバーは、番号が漏洩して不正使用される恐れがない限り一生変更されないため、自分のマイナンバー情報が漏洩しないように細心の注意をしなくてはいけません。

マイナンバーは、主に社会保障・税金・災害補償の行政手続きで使用されますが、この3つの分野の中でも、法令や地方公共団体の条例で定められた行政手続きのみでしか使うことができないのです。

マイナンバー制度は未だ完全に施行されているわけではなく、今後は銀行口座との紐付けや医療・介護分野での利用など幅広い分野でマイナンバーの適用拡大が検討されています。

それではこのマイナンバー制度が導入されたことによって、副業をしている方にどのような影響があるのかを解説していきます。

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勤務先や副業先にマイナンバーを提出する必要があります

マイナンバー制度が導入されたことによって、勤務先や副業先に個人のマイナンバーの提出が義務付けられました

勤務先企業では提出された従業員のマイナンバーを、年末調整や健康保険や雇用保険や年金などの手続きや管理で使用します。

勤務先や副業先に「マイナンバーを提出するのがなんだか心配・・・」と思う方もいるかと思うので、マイナンバーの提出を拒否した場合にどうなるのかについてもお話したいと思います。

勤務先へのマイナンバー提出が義務付けられていますが、マイナンバーを提出しなかった場合の罰則規定がないため、マイナンバーを提出しなくても罰則を受けることはありません

しかし企業によっては就業規則で罰則を規定していることもあるため、ご自身の勤務先に確認しましょう。

基本的にマイナンバーの提出が法令で義務付けられているため、勤務先や副業先にマイナンバーを提出しましょう。

マイナンバー制度の導入だけでは副業はバレません

マイナンバー制度が導入されたことで「副業していることが会社にバレるんじゃないか?」と心配している方が多いですが、マイナンバー制度が導入されただけでは会社に副業はバレないです

マイナンバーは前述したように、法令や地方公共団体の条例で定められた行政手続きのみでしか使うことができません

そのため会社が従業員のマイナンバーを使って税務署などの行政機関に、従業員が副業をしているかどうかを問い合わせることはできないのです。

また反対に、行政機関側も定められた利用目的以外に個人情報を提供することは禁止されているため、むやみに情報提供されることはありません。

法律で規定されているものを除いて、マイナンバーやマイナンバーによって管理されている個人情報を集めることや提供することは禁止されているので、これに違反すると厳しい罰則が課せられます

このように利用できる場面が限られているので、マイナンバー制度が導入されただけでは副業していることが会社にバレることはないのです。

副業している場合、給与計算の方法を工夫する必要があります

ここで本業と副業先の2ヶ所以上の会社から給与をもらっている場合、給与計算の方法を工夫してもらう必要があることをご説明します。

2ヶ所以上の会社から給与をもらっていると、所得税が同税率で二重課税されないように注意しなければなりません。

所得税が同税率で二重課税されないようにするには、源泉徴収される所得税の給与計算時に本業の会社には「給与所得の源泉徴収税額表」の「甲欄」という所得税率で給与計算してもらいます

また副業先の会社の給与計算時では「給与所得の源泉徴収税額表」の「乙欄」という所得税率で給与計算してもらう必要があります

給与所得の源泉徴収税額表の「乙欄」は「甲欄」より高い税率となっています。

通常、一つの会社のみで働いている方のほとんどが「給与所得の源泉徴収税額表」の「甲欄」で給与計算されているため、副業をしている方は本業の会社の給与計算方法はそのままで良いことが多いでしょう。

また年末調整時に提出する「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」は同時に1ヶ所にしか提出できないため、「生命保険などの控除書類」や「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」は本業の会社に提出する必要があります

本業の会社に給与所得者の扶養控除等(異動)申告書を提出して、副業先の会社にはこれを提出しないということになります。

そのため給与所得者の扶養控除等(異動)申告書の提出がなかった副業先の会社は、給与所得の源泉徴収税額表の「乙欄」で給与計算することとなりますが、念のため給与所得の源泉徴収税額表の「乙欄」で給与計算してもらうようにお願いしても良いでしょう

マイナンバー制度導入!副業は税金でバレやすいです

マイナンバー制度の導入によって副業が会社にバレるわけではありません。

副業が会社にバレるのは、マイナンバー制度が導入される前から変わらず、たいてい「住民税の金額」が原因です。

住民税は、個人の1年間(毎年1月1日~12月31日)の収入を元に税額が計算されて徴収されます。

住民税を納める方法は、自分で住民税を納める「普通徴収」と、会社経由で住民税を納める「特別徴収」の2種類あります。

まずは会社が従業員の住民税の金額を把握する流れをご説明します。

本業の会社と副業先の会社が年末調整で従業員の住んでいる市区町村に給与支払報告書を提出します。

※給与支払報告書とは、従業員に1年間(毎年1月1日~12月31日)に支払った金額やその他必要事項を記載した書類です。

市区町村が受け取った給与支払報告書を元に個人の住民税を計算します。

前年度分の所得に対する住民税の納税額が決定し5月に市区町村から会社に通知されます。

当年分の住民税が6月に給与から天引きされます。

本業の会社も副業先の会社も両方とも年末調整で給与支払報告書を市区町村に提出しており、会社の給与から天引きされて住民税を納めている特別徴収の場合、今まで本業だけにかかっていた住民税が、副業をすることによって増えてしまい会社側がおかしいなと副業を疑うという流れでバレることが多いです。

副業をしていると給与明細の住民税欄の金額が、副業をしていなかった時と比べて高くなるため、会社側が給与明細を確認した際にバレやすいということです。

しかし、会社側が従業員一人ひとりの住民税の金額を注目して確認しなければ金額の変化に気付きにくいため、社員数が多い会社などではいちいち従業員一人ひとりの住民税を確認していないという会社もあります。

住民税以外で副業が会社にバレる原因

副業していることが会社にバレる原因のほとんどが「住民税の金額」ですが、住民税以外で副業がバレる原因があと3つあります。

①社会保険に複数社での加入義務が発生した場合

既に本業の会社で社会保険に加入している方が多いかと思いますが、副業をしていることで副業先の会社でも社会保険の加入義務条件に当てはまり、複数社で社会保険に加入することによって副業がバレるケースがあります

社会保険の加入条件

労働時間(1週間)・・・一般社員の4分の3以上

労働日数(1ヶ月)・・・一般社員の4分の3以上

正社員、契約社員、パートタイマー、アルバイトは上記2条件に当てはまる場合、社会保険に加入する義務があります。

また会社役員で役員報酬を得ている場合は労働時間や労働日数に関わらず、原則として社会保険に加入する義務があります。

※個人事業所で従業員が常時5名未満の場合や、農林水産業やサービス業や士業などの一部の業種の個人事業所の場合は、社会保険の加入が任意となっています。

このように複数社で社会保険に加入することになり、本業の会社の社会保険料が変更されることになった場合に副業していることがバレてしまうことがあります

② 勤務態度で周囲に副業を疑われる

本業以外にも働くことで結果的に長時間労働となって、十分な睡眠や休息が取れなくなり頻繁に遅刻してしまったり、勤務中の集中力が落ちてミスが多くなったりすることがあります。

このようにワークライフバランスが崩れ心身の健康が損なわれてしまうことによって、本業の会社に気付かれ副業を疑われる可能性があります。

副業をしていると、どうしてもプライベートな時間が減ってしまうことから、本業に悪影響を与えてしまい副業がバレる原因になることがあります。

最近では副業を禁止しない会社も増えてきていますが元々、副業を就業規則で禁止している会社が多いのは、副業をすることで業務に支障が出る恐れがあることも背景にあるようです。

③ 副業中に偶然、同僚に見られてしまう

副業をしている時に偶然同僚に見つかってしまい、副業していることがバレるということもあります。

飲食店や水商売などの接客業で副業をしている場合、会社の近くで働くと会社の人に見つかってしまうリスクが高くなります。

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マイナンバー制度導入!給料が手渡しでもバレる

給料が手渡しならば、副業していることが本業の会社にバレないんじゃないかと考えている方もいるかと思いますが、決してそんなことはありません。

副業先の給料の支払い方法が手渡しであっても、副業先の会社では支払った給料や報酬を経費(人件費)として計上しているので、副業先の会社は従業員個人の所得として役所に申告します。

会社側は従業員に支払った給料や報酬を、人件費として正確に計上しないと不正会計として脱税をしたことになり罰則を受ける場合があります。

そのため手渡しで得た副業の給与も、個人の総所得に収入として加算されることとなり、副業の収入も加算された分の住民税の金額が本業の会社に通知されることで、バレやすくなることに変わりはないのです。

またマイナンバー制度が導入され、行政機関間での個人情報の紐付けが強化したことによって、今までよりも正確に確定申告しなければならなくなったため、ごまかしは通用しません

マイナンバー制度導入で副業が会社にバレにくくするための対策

①住民税を普通徴収で納める

前述した通り、住民税を納める方法は、自分で住民税を納める「普通徴収」と、会社経由で住民税を納める「特別徴収」の2種類あります。

原則として、給与支払報告書を提出すると会社経由で住民税を納める特別徴収になります。

住民税の扱いは勤務先や市区町村によって対応が異なりますが、副業の所得が年間20万円以下で、かつ、本業の会社が従業員の住民税を給与からの天引き(特別徴収)で支払っている場合に有効な方法があります。

給与所得以外の所得は、普通徴収にするか特別徴収にするか選択ができて、ここで普通徴収を選ぶことで、住民税を自分で納めることができるようになります

普通徴収を選んで自分で住民税を納めることによって、副業分の住民税が本業の会社に住民税の金額通知が行かなくなり、副業していることが会社にバレにくくなります。

普通徴収を選ぶ方法は、確定申告をする時に確定申告書内の「住民税に関する事項」で住民税の徴収方法の選択を「給与から差引き」ではなく「自分で納付」を選びます

しかしここで注意しなければならないのが、住民税の納税方法を選べるのは「副業の収入が給与所得ではない場合のみ」ということです。

給与所得とは、勤務先から得る給料や賞与などの所得のことです。

副業がアルバイトなどの場合は給与所得となり、年末調整の際に普通徴収を選ぶことはできず、副業分の住民税が加算された金額が本業の会社に通知されてしまいます。

そのため給与所得として副業の所得を得ている場合や、副業の所得が20万円以上は、別の対策が必要になります。

反対に、給与所得にならない所得とは以下の所得です。

不動産所得 土地や建物などの不動産の貸付け、地上権などの権利の設定や貸付、船や飛行機の貸付け
譲渡所得 リゾート会員権やゴルフ会員権などの資産の譲渡によって得る所得
雑所得 公的年金やアフィリエイトの収入やFXによる収入などの所得
利子所得 預貯金や公社債の利子や公社債投資信託の収益分配による所得
配当所得 法人からの利益の配当、剰余金の分配、公社債以外の投資信託の収益分配による所得
事業所得 農業・漁業・製造業・サービス業などその事業から発生する所得
退職所得 退職によって得る所得
山林所得 5年以上所有していた山林を伐採して譲渡したり、立木のまま譲渡したりして得た所得
一時所得 懸賞や福引の賞金、競馬や競輪の払戻金

※住民税の納税の扱いは、勤務先や市区町村によって対応が異なる場合がありますので、ご自身の勤務先や住んでいる市区町村にご確認ください。


上記で住民税を普通徴収で納める方法を紹介しましたが、今後は全て特別徴収で住民税を納める方向になるかもしれません

実際に東京都が平成29年度から、原則として住民税の特別徴収が義務化されています。

ただし東京都の場合、以下の条件に当てはまれば当面、例外的に普通徴収が認められています。

普A:従業員数が2名以下
(他の区市町村を含む事業所全体の受給者の人数で、以下の普B~普Fの理由に該当して普通徴収とする対象者を除いた従業員数)

普B:他の事業所で特別徴収

普C:給与が少なく税額が引けない。

普D:給与の支払が不定期(例:給与の支払が毎月でない)

普E:事業専従者(個人事業主のみ対象)

普F:退職者又は退職予定者(5月末日まで)

このように今後、住民税の特別徴収が全国的に義務化されて普通徴収が選べなくなる可能性があります。

②副業を法人化する

副業の所得が給与所得の場合などには、副業を法人化して会社にバレにくくする方法があります。

副業の仕事で会社を設立し、ご自身が代表取締役となって従業員は自分一人という状況でも会社は成り立ちます。

設立した法人から出た利益を給与として受け取ってしまうと給与所得となって、住民税がかかり副業がバレる可能性があるため、給与は受け取らずに「内部留保金」としてストックしておく方法があります

内部留保とは、営業活動して出た税引き後の利益を会社内部で保持し貯めておくことです。

法人として副業を続けている間は利益を全て内部留保金としておいて、本業の退職時など副業を隠す必要がなくなった時に、解散後の配当金や退職金としてストックしておいた内部留保金を受け取ります。

しかし内部留保金として貯めておくと、そのお金を使用することができません。

そのため家賃や通信費や交通費などの営業活動で使ったお金は、法人に経費として負担させることでお金を使うことができます

また税金を引かれる前の収入を経費として使用し計上することで、節税効果もあります。

ただし税務署に経費として認めてもられない場合があるので、経費として計上しても問題がないか事前に税理士に確認しましょう。


副業を法人化する方法をご紹介しましたが、この副業を法人化する方法を実践すると法人として営業活動している間にかかる税金と、内部留保金を配当金や退職金として受け取った時にかかる税金を二重で支払うことで納税額が高くなる可能性があります

副業の収入は個人によって異なり、それに伴う税金の総額がどれくらいになるかを推測することも素人では難しいため、専門家である税理士に任せた方がいいでしょう

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マイナンバー制度導入!副業の確定申告をしましょう

2ヶ所以上の会社から所得を得ている場合、副業先の会社から得る所得は以下2つのいずれかの方法を取る必要があります。

①本業の会社で副業先の会社から得た所得も含めて年末調整してもらう

②副業先の会社から得た所得を自分で確定申告する

しかし上記①の「本業の会社で副業先の会社から得た所得も含めて年末調整してもらう」を選んでしまうと、副業していることを自らばらしてしまうことにもなりかねません。

そのため②の「副業先の会社から得た所得を自分で確定申告する」方法を選ぶことになるでしょう。

ここでは自分で確定申告する方法をご説明します。

副業の所得が年間20万円以上になると、副業で得た所得分を自分で確定申告をする必要があります。

毎年1月1日~12月31日までの1年間に得た所得は、翌年2月16日~3月15日までの期間に確定申告して所得税を納めなければなりません。

確定申告に必要な書類

  • 確定申告書
  • 給与所得や公的年金などの源泉徴収票の原本
  • 医療費の領収書、社会保険料(国民年金保険料)や生命保険料や地震保険料の控除証明書、寄附金の受領書など

確定申告書の作成方法・提出方法

国税庁の「確定申告書等作成コーナー」を利用して、画面の案内に従いながら入力していくことで、そのままインターネット上で提出までできます。

作成した確定申告書は印刷して郵送や窓口に持参する提出方法もあります。

国税庁の「確定申告書等作成コーナー」では作成した情報を保存したり、途中で保存した情報を再度読み込んで作成を再開したりできます。

確定申告をきちんとしないとどうなる?

無申告加算税が課されます

期間内にきちんと確定申告しないと、所得税の他に無申告加算税が課されてしまいます。

無申告加算税は税務調査を受けた場合、原則納付すべき税額が50万円未満の場合15%、50万円以上の場合は20%の割合を乗じた金額を納めなければなりません。

しかし税務調査を受ける前に自主的に期限後に申告した場合は、5%の割合を乗じた金額になります。

延滞税

税金の支払いが遅れた場合、原則として定められている納付期限の翌日から納付する日までの日数に応じて、延滞税が課されてしまいます。

納税が遅れてしまった場合は、延滞税の金額を減らすためにもなるべく早く税金を納めましょう。


このように確定申告をしないと厳しい罰則を受けることになってしまいます。

所得税以外に無申告加算税や延滞税を支払わなくても済むように、きちんと確定申告をしましょう。

しかしこのように自分で確定申告しても、最終的に住民税の金額で本業の会社に副業がバレる可能性があるので、前述した住民税を普通徴収で納める方法副業を法人化する方法で対策するのが良いでしょう。

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マイナンバー制度導入で副業がバレる?対策など徹底検証まとめ

マイナンバー制度の導入で副業がバレやすくなったわけではなく、以前と変わらず副業がバレるほとんどの原因は「住民税」ということでした。

副業していることをバレにくくする対策もいくつかご紹介しましたが、どんな対策をしていても、副業していることが何かのきっかけでバレてしまう時は残念ながらバレてしまいます。

最近の傾向として公務員などの副業が禁止されている職種を除いては、副業を認める風潮にもなってきてるので、隠す必要がなくなって堂々と副業できるようになるといいですね。

この記事を読んでマイナンバー制度のことや、副業に関する理解が深めていただけていたら幸いです。

本ページは2017年5月26日時点での情報です。
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