入院費や医療費が払えない場合に知っておきたい5つの制度

お金のコラム

昨日まで元気だったけれど、突然入院!ということは、誰にでも起こりうることで、他人事ではありません。

そんな時、あなたは、すぐに入院費や治療費などの医療費を捻出することはできますか?

怪我や病気によって、仕事に行くことができない場合、気になるのは、収入が断たれてしまうことだと思います。

いざという時に困らないように、医療費を抑えることができる5つの公的制度をご紹介します。
 

入院費は、何がいくらくらいかかる?平均費用は約23万円!

一言で入院費といっても、どのようなことにいくらくらいかかるのか不安ですよね。

入院費の内訳は、大きく分けて、①入院基本料 ②治療費(投薬・注射・手術・検査・画像診断・リハビリにともなうお金) ③食事代 ④差額ベッド料 ⑤雑費(病衣レンタル料・文書料・備品使用料など)の、5種類です。

費用については、検査入院などの比較的簡易で短期間の入院なのか、癌治療のための手術や長期入院をするのかなど、病気やケガの内容や入院期間によって、大きく異なります。

そのため、あくまでも平均値となりますが、入院費自己負担額の平均は約23万円で、1日あたり約2万1千円という調査結果も出ています。

自己負担額の割合・上限について

健康保険に加入している場合、病院で健康保険証を提示することによって、一部の医療費を払えば済む、つまり残りの医療費は、負担してもらえることになっています。

その自己負担の割合は、年齢や所得によって異なり、下記のように決められています。

区分 自己負担割合
6歳未満の未就学児 2割
6歳以上70歳未満(一般) 3割
70歳以上75歳未満 2割
70歳以上75歳未満(現役並所得) 3割
75歳以上 1割
75歳以上(現役並所得) 3割

ただ、大手術をしたり、入院が長期間に及ぶ場合、1~3割と言っても、高額になり、大きな負担になることでしょう。

そのため、自己負担額には、限度額が設定されています。

 
〔70歳未満の方〕

所得区分 自己負担限度額
標準報酬月額83万円以上 252,600円+(総医療費-842,000円)×1%
標準報酬月額53万円~79万円以上 167,400円+(総医療費-558,000円)×1%
標準報酬月額28万円~50万円以上 80,100円+(総医療費-267,000円)×1%
標準報酬月額26万円以下 57,600円
住民税非課税者等 35,400円

 
〔70歳以上75歳未満の方〕

所得区分 自己負担限度額
現役並み所得者(標準報酬月額28万円以上等) 80,100円+(医療費-267,000円)×1%
一般(現役並・低所得者以外) 44,400円
低所得者(住民税非課税等) 24,600円
低所得者(地方税法の規定による
市町村民税に係る所得がない)
15,000円
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①高額療養費制度を使えば、お金の払い戻しを受けられる!

高額療養費制度(こうがくりょうようひせいど)とは、医療費が高額になって、上記の自己負担限度額を超えた場合に、その超過分の払い戻しを受けられる制度です。

この制度は、国民健康保険などの公的な医療保険に加入している全ての人が対象になります。

【事例】
Aさん 年齢:35歳 月収:30万円
医療費が、1ヶ月に100万円かかったが、自己負担は3割なので、30万円を病院で支払っていた。

Aさんが申請すると・・・
 
上記の式に当てはめると、自己負担限度額は、
80,100円+(1,000,000円-267,000円)×1%=87,430円となる。

したがって、30万円-87,430円=212,570円が支給される。

高額療養費制度の注意点

・同一月内で計算される
高額療養費制度は、同一月内で計算されることになっています。つまり、月末から月をまたいで入院すると、2か月分の計算となってしまうんです。
もしも、入院日を指定できる場合は、月初から入院できるように調整してみましょう。

 
・保険外負担分は対象外となる
医療費全てが対象となるわけではなく、差額ベッド代や食事代、がんなどの先進医療、自由診療、病院までの交通費など、保険外負担分については、対象外となります。

 
・高額療養費制度支給申込書を出す必要がある
限度額を超えたからといって、自動的にお金が戻るわけではなく、自分で、高額療養費制度支給申込書を出す必要があります。
必ず、病院でもらった領収書を保管しておきましょう。また、国保に加入している方は「国民健康保険証」が、住民税が非課税の方は「住民税非課税証明書」も必要になります。

 
・申請に期限がある
受診した月の翌月の1日から2年以内、または、通知書を受け取った日から2年以内に申請する必要があります。
時間はたっぷりありますが、早めに申請するようにしましょう。

 
・複数の医療機関の合算は21,000円以上から
1ヶ月に複数の病院にかかった場合、70歳未満なら(70歳以上は全部の自己負担額)、1医療機関につき、21,000円以上であれば、合算できます。
それ以下のものは、合算できませんので、ご注意ください。

 
 
なお、高額療養費制度は、入院だけでなく、虫歯などの外来受診の金額も対象となります。
ただし、申請後、すぐにお金が戻ってくるわけではなく、早くても3ヶ月はかかるので、その間の負担は続きます。

②高額療養費貸付制度なら、無利子で事前にお金が受け取れる!

高額療養費制度を使うと、一定額以上のお金の払い戻しを受けられることになります。
しかし、実際にお金が支払われるまでの一時的でも支払いが難しいという場合には、高額療養費貸付制度を利用するといいでしょう。

高額療養費貸付制度(こうがくりょうようひかしつけせいど)とは、高額療養費制度を使って払い戻されるお金の約8割(国民健康保険加入者は約9割)を、無利息で貸し付けてもらえる制度です。

この制度についても、高額療養費制度と同じく、公的な医療保険に加入していれば、誰でも利用できます。

必要書類などは各保険によって異なりますが、国民健康保険の場合では、貸付申請書類・病院でもらった領収書・国民健康保険証が必要になります。

申請してから2~3週間すると、貸付金が振り込まれ、残りの約2割(国保加入者は約1割)は、4ヵ月後くらいに振り込まれます。
なお、高額医療費から差し引きされるので、別途、返済する必要はありません。

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③医療費控除で、支払った税金の一部が戻る!

医療費控除(いりょうひこうじょ)とは、一定額以上の医療費を負担した場合に、確定申告をすることで、支払った税金の一部を返してもらえる制度です。
1月1日から12月31日までの1年間に、本人だけでなく、生計が一緒の家族が払った医療費も対象となります。

 
〔医療費控除の対象となる金額〕

医療費控除の金額は、次の式で計算した金額(最高で200万円)です。

(実際に支払った医療費の合計額-(1)の金額)-(2)の金額

(1) 保険金などで補填される金額
(例)生命保険契約などで支給される入院費給付金や健康保険などで支給される高額療養費・家族療養費・出産育児一時金など
(注)保険金などで補填される金額は、その給付の目的となった医療費の金額を限度として差し引きますので、引ききれない金額が生じた場合であっても他の医療費からは差し引きません。

(2) 10万円
(注)その年の総所得金額等が200万円未満の人は、総所得金額等5%の金額

引用元:国税庁 No.1120?医療費を支払ったとき(医療費控除)

つまり、医療費控除の利用を申請すると・・・
1年間に医療費を20万円支払い、保険金などの補填がない方の場合

上記の式に当てはめると、

20万円-0円-10万円=10万円

ここに、申告者の所得税率をかけた金額が受け取れます。

医療費控除の注意すべき点は、確定申告をしなければ、控除が行われないというところです。

その際に、病院でもらった領収書が必要となりますので、しっかり保管しておきましょう。

病院で支払った医療費だけでなく、通院のための交通費や、市販薬、不妊治療のための鍼灸治療なども控除の対象となります。

控除できる金額の上限は200万円です。

④傷病手当金制度を活用すれば、長期間会社を休んでも安心!

入院や自宅療養によって会社を休まなくてはいけなくなった。でも、有給休暇を消化してしまっている!
そういった場合は、傷病手当制度を活用しましょう。

傷病手当制度(しょうびょうてあてせいど)とは、病気やケガで会社を休み、給料が支払われない場合または減給された場合に、標準報酬日額の3分の2相当の金額を受け取れる制度です。
標準報酬日額とは、「支給開始日以前の継続した12か月間の各月の標準報酬月額を平均した額」÷30で計算したものです。

この制度を使えば、会社を休み始めて4日目から最長1年6ヶ月の間、手当金が支給されます。

注意点は、会社員や公務員などの社会保険が対象となり、国民健康保険は、対象とならないところです。
傷病手当金の支給は、一般的に、申請から2週間~1ヶ月前後です。
なお、条件によっては、退職後も申請することができるので、損をしないように、よくお確かめください。

⑤限度額適用認定証を予め準備しておこう

高額療養費制度や高額療養費貸付制度を利用すると負担が軽くなるとは言え、病院には先にお金を払うことになります。
後で払い戻しができるとしても、その場で払うお金がないという方は、あらかじめ、限度額適用認定証(住民税が非課税の世帯は「限度額適用・標準負担額減額認定証」)を取得しておきましょう。

限度額適用認定証(げんどがくてきようにんていしょう)とは、病院の窓口に提示することで、最初から、限度額までの支払いで済ませることができるものです。
前もって申請して発行してもらう必要があるので、急だと厳しいのですが、入院や手術の予定がある方は、事前に準備しておくといいでしょう。

手続きは、国民健康保険なら市役所や区役所で、社会保険なら会社の担当者に直接提出するか、郵送することもできます。

有効期限は、最長1年間となり、それ以上使用する際は、認定証の書き換えが必要になります。

限度額適用認定証に関する申請書のダウンロードや書き方、記入見本などは、全国健康保険協会のサイトをご確認ください。

なお、国保の保険料を滞納していると、限度額適用認定証は発行できません。

その場合は、委任払い制度を利用するといいでしょう。

委任払い制度とは、病院で申請書を記入することで、支払いが自己負担限度額まで軽減されるというものです。

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治療費・入院費が払えない場合に使いたい制度のまとめ

入院して治療することになったはいいものの、「退院時に一体いくらくらい必要なんだろう?」と不安に駆られていては、治療に専念できないことでしょう。

いざという時に、治療費が払えない!と頭を抱え、大きな負担を背負わないように、ご紹介した制度を活用してください。

制度をフルに使っても、払えないときは、病院の医療ソーシャルワーカーに相談するのも1つの手段です。

それでもだめなら、役場に相談し、生活保護などの手続きを検討してみましょう。

前払いするお金がないという方は、キャッシング

急を要している場合や、一時払いするお金もないという方は、キャッシングやカードローンの利用がおすすめです。
お金を借りると返済が不安という方も、数ヵ月後に医療費制度によって、お金が返ってくるので、少しのお金の工面で済み、あまり心配はいりませんよ。

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本ページは、2017年1月13日時点での情報です。
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