大学の英語教員に聞いた効率的で確実な英語の勉強方法

ライフハック

この記事では現役大学英語教員による「効率的で確実な英語の勉強方法」を紹介します。

事前準備編

1. そもそも英語ができるようになってどうしたいのか明確にする

まずはじめに、なぜ英語ができるようになりたいのか、英語を会得してどうしたいのか、自分の中ではっきりさせましょう。

別に立派な理由は必要ありません。
「ひとりで海外旅行に行きたい」とか「字幕なしで英語の映画が観たい」とか「好きなアーティストの歌詞を自力で理解したい」とか「就職/転職に役立てたい」とか、そういうもので構いません。

ただ、「なんとなく」はちょっと危険かもしれません。
実際「なんとなく英語できたら色々有利だから勉強したいなー」と言って勉強を始めた友人の99%が、知らぬ間にやめていたので。

目標を立てると勉強方法も絞り込みやすいので、まずは何でもいいのでモチベーションになりそうな目標を立てておきましょう。

2. 自分の現在の英語力を知ろう

続いて英語の学習を始める前に大切なのは、今の自分の英語力がどれくらいなのかを知ること。

ということでまずは、事前学習全くなしでTOEIC L&R公開テストを受けてみましょう。

もちろん英検、TOEFL、IELTSやGTECでも構いませんが、いずれも受験料が高いので、TOEICで十分だと思います。

ちなみに事前学習や対策なしでTOEICを受けるとまず間違いなく時間切れになりますが、今回はあくまでも自分のレベルを知るためのテストなので、別に気にする必要はありません。

個人的な経験から言うと、

  • TOEIC400点未満……中学生レベル
  • TOEIC600点未満……高校生レベル
  • TOEIC800点未満……大学生レベル(=ひとりで旅行に行ってもまあなんとかなるかな?くらいのレベル)
  • TOEIC900点以上……英語を使った仕事に就いても問題がないかな?くらいのレベル

といった感覚です。

どれだけ結果が悪くても落ち込んではいけません。むしろ伸びしろが残っていることを喜ぶべきです。

ちなみにTOEICはリスニングとリーディングだけなので、「TOEICの点が良くても英語ができるって訳じゃなくね~?」と主張するアンチTOEIC勢が一定数いますが、気にしてはいけません。

TOEICの勉強しかしていなければ確かに英語は喋れないかもしれませんが、英語ができる人でTOEICで高得点を取れない人など存在しませんし、TOEICで高得点を取れるくらいの基礎力があればスピーキングとライティングはしっかり伸ばせます。

3. 勉強せざるをえない環境を作る

突然ですが私は英語は筋肉に似ていると思っています。

なぜかというと、身につくまでがしんどいけど、ある時を境に一気に身について、ちょっと停滞期がきて、また一気に伸びて、でもサボると一気に劣化するからです。

ということで英語は、というか言語は使い続けなければ身につかないのですが、日本在住の人にとって一番難しいのが「日常的に英語を使わなければいけないシチュエーション」を用意すること。

大学生の方なら英語の授業を履修(ネイティヴの先生の授業にしましょう)したり、学校に設置されている英語ラウンジを活用したりするのがベストです。

それ以外の方はもう普通に英会話スクールに通うのがいいと思います(大学の公開講座とかでもいいかも)。

大学の授業では教員が教材を指定もしくは準備しますし、英会話スクールでも講師の方がレベルや目標に合わせた授業を組んでくれます(たぶん)。

環境さえ用意できれば、「適当に教材買ったけどよく分からないし合ってないかも……やめよ」という時間とお金の無駄を回避できます。

英会話スクールと言われると「続くかな……」と不安になる方がいるかもしれませんが、こればかりはジムと同じで行くもサボるも自己責任。

また通う頻度もジムと同じで、頻度が高ければ高いほど英語は伸びますし、低ければ低いほど英語の上達は遅れます。

ジムと違って、最近ではオンライン英会話のサービスを提供している会社もあるので、忙しい方はそちらを使ってもいいかもしれませんね。

お金と筋肉を無駄にしないように頑張りましょう!

3. 言語の違い=文化の違い

なぜここまでネイティヴスピーカーと会話する機会を作ることを推奨するかというと、外国語を取得するということはただ単に言語を学ぶということではなく、その言語が培われた文化的背景を理解することでもあるからです。

英語を勉強していると、日本の社会文化的なコンテクストからは理解しづらい表現やそれが使われる状況というものが、沢山出てきます。

その文化的なギャップを理解し埋めていくためにも、積極的にネイティヴの先生と交流してほしいと思います。

4. 「理解している」の基準をはっきりさせる

英語学習で一番良くないのは、「何となく分かった」と「分かっているつもり」の状態です。

なぜかというと、そういう人はほぼ100%何も理解できていないからです。

ここで「理解している」の定義を、「人に分かりやすく説明できる」状態としておきましょう。

何事も人に説明するためには、まず第一に自分がそれについてしっかり理解している必要がありますよね。

これから先、自分が「理解している」かどうかをチェックするために、友達や家族など、誰でもいいので誰かに説明してみましょう。

相手が「なるほどわかった!」となれば合格、「なるほどわからん!」となればやり直しです。

5. 必要なものを揃える

次に英語学習に必要なものを揃えます。

……と言いたいところですが、英語を使わざるを得ない環境だけ用意できれば、あとはスマホとパソコンくらいしかいりません。

スマホには辞書を入れておきましょう。

辞書はかならず

①和英英和辞書
②英英辞書

のふたつを用意します。

私は個人的に、和英の中ではALCの「英辞郎」が好きです。
シンプルで使いやすいし、例文も面白いので。

次に英英辞典をインストールします。

個人的なおすすめは「Dictionary」か「Merriam-Webster Dictionary」か「Macmillan English Dictionary」です。

他のものでも構いませんが、かならず発音をオーディオで確認できるものを選んでください。

英英辞書が必要な理由は後述しますね。

また英語でメールやエッセイを書きたい人は、書いた英文を自動で添削してくれる「Grammarly」も入れておくといいんじゃないでしょうか。

これは必須ではありませんが、David Barkerの『An A-Z of Common English Errors for Japanese Learners (Japanese Edition)』と『プログレッシブ 英語コロケーション辞典』は英語力を底上げするのに非常に有効な本なので、財布に余裕があればぜひ購入をおススメします。

前者は日本人がやりがちな英語の間違いをまとめた本で、後者はコロケーション(この単語の後ろにはこれが来るなどの法則みたいなもの)をまとめた本です。

アプリのご紹介

書籍のご紹介

お勉強編

1. 基本的な英単語を覚えよう

さて、ここからはお勉強編です。

まず何よりも大事なのは、語彙を増強すること、つまり単語をインプットしまくることですね。

早速脱線しますが、先日某漫画を読んでいたら「単語と文法さえ覚えれば英語は何とかなるから!」的なセリフを言っていて、「なんなんだこいつは……」と思いました。

机上でできる英語学習において、単語と文法以外に覚えることなんかありません。

問題はその単語が膨大な数あるということだけです。

日本語もそうですが、字面が似ている単語は本当に山ほどあります(simulateとstimulateとsimultaneousとか)。

ただこれらをひとつひとつ単語帳的な方法で覚えようとしてもまず間違いなく頭に入らないので、勉強中に出てきたらしっかり覚える、くらいにしておきましょう。

無理に詰め込もうとするのは厳禁です。

もう一点、単語はかならず発音も確認して、実際に発音してみましょう。

リスニングが苦手な人の中には、「字幕があれば理解できるんだけどー」と言う方が多数いますが、その原因は純粋に正しい(まあ何が正しいかは置いておいて)発音を理解していないことにあります。

前述した英英辞書アプリではしっかり発音が確認できるので、音声に続いて実際に発音するようにしましょう。

ちょっと慣れてきたら、今度は分からない単語を英英辞書で調べてみます。

「なんだこの単語意味わからん」→英英辞書で調べる→「解説にも知らん単語がある……」→英和辞書で調べる→「なるほど解説のこの単語はこういう意味か。ということは元々調べてた単語の意味はこういうことだ!」と一度で二度も三度もおいしい知の永久機関みたいな学習ができます。

めんどくさいかもしれないですが、心の底から強く推奨します!!!

2. 基本的な英文法と品詞をマスターする

単語の次に大事なのは英文法。

体感的に、英語が嫌いな人が英語を嫌いな理由のほとんどは「文法が苦手/意味不明だから」というものです。

ただ、文法は一度理解してしまえば大して難しいものではありません。

というか、単語の学習を続ければ品詞も何となく理解できるようになりますし、品詞が理解できるようになれば文法でつまづくことも減るはずです。

ちなみに品詞というのはその語句が文章中でどのような役割を果たすかを示すもので、

  • 名詞……「もの」とか「こと」とかの名前
  • 代名詞……「ひと」とか「もの」の名前を言い換えたやつ(「わたし」とか「それ」とか)
  • 形容詞……名詞に詳しい説明を付け加えるやつ(「おもしれえ動画」の「おもしれえ」の部分です)
  • 動詞……動作とか状態とかを表すやつ(「~する」とか「~である」とか)
  • 副詞……動詞に詳しい説明を付け加えたり(「ダラダラYouTubeを観る」の「ダラダラ」の部分です)、形容詞に詳しい説明を付け加えたり(「すげえ面白い動画」の「すげえ」の部分です)するやつ
  • 前置詞……名詞の前に置くやつ
  • 接続詞…文章と文章をひとつに繋げてあげるやつ(「田中が遅刻したから映画に遅れた」の「から」の部分です)
  • 間投詞……「おお!」とか「ああ!」とか

大体この8個があります(すごい大雑把に説明しています)。

同じに見える単語でも語尾(正確には接尾辞)が違うと品詞=役割が変わってくるので、単語を覚えるときにはそこにも気を配ってあげるといいですね。

文法を構造的に理解したい人は、「英文法大全」を見ると大体すべての問題が解決しますよ。

3. イディオムやフレーズはそのまま覚えちゃおう

英語には2つ以上の単語が組み合わさって、元の単語とは違う意味を表す「イディオム」と呼ばれるものがあります。

英語がそこそこ得意でも、イディオムが苦手だと言う学生は非常に多いです。

たとえば”lose one’s shirt”(「(人)のシャツを失う」)は「無一文になる」、”let the cat out of the bag”(「その猫をそのカバンから出させる」)は「うっかり秘密を漏らす」という意味があります。

先日観たB級アメリカ映画では、”level the playing field”(「公平にやろうぜ」)という表現が使われていました。

こうした言葉はもうめんどくさいので、そのまま覚えてください。

また合わせて、学校の授業ではあまりやらないけれど実際にはめちゃくちゃよく使うインフォーマルな短縮語(wanna, gotta, gonna, ain’t)なんかも覚えておくと良い、というかこれらを知らないと実際にコミュニケーションを取るのは無理なので覚えておきましょう。

4. YouTubeを使ってリスニング力をぶち上げよう

CD付き問題集を購入してリスニングの勉強をするのもいいですが、無料の動画が溢れかえっている現代社会でわざわざお金を払う必要があるかどうかと言われると、正直YouTubeで十分だと思っています。
(もちろんTOEICやTOEFLなどの資格対策に問題集は有効ですけどね。)

ただしリスニングの勉強は、ただ単に聞けばいいだけでも、問題を解けばいいだけでもありません。

リスニング力を最も伸ばす(と思う)のは、流れた音声を書き起こす「ディクテーション」です。

具体的にどうすればいいかというと、

①なんか適当に英語の動画を探す(字幕付きのものにしましょう。字幕が自動生成のものは避けたほうがいいです。)。

②止めながら&巻き戻しながらでいいので、話している内容をすべてノートやワード、メモに書き起こす。

③聞き取れなかった部分には空欄を開けておく、自信のない部分には?マークとかをつけておく。

④字幕付き動画を観ながら答え合わせ。

⑤聞き取れなかった表現や間違えた個所は、動画の音声に合わせて繰り返し発音しながら覚える。

これをひたすら繰り返すだけです。

ディクテーションの効果に関しては否定的な意見を持つ人もどうやらいるようですが、個人的にはこれに勝るリスニングの勉強法はないと思います。

例えばTOEICの公式問題集も、テスト前に一回やって見直して終わりではなく、時間はかかるけれども収録CDの内容を全部ディクテーションしておけば、余裕で満点近く取れると思うんですよね……。

「うっわめんどくせっ」と感じる方も多いかもしれませんが、筋トレと同じで辛いトレーニングほど耐えた後に大きな効果をもたらすものなので、本気で英語力を上げたい方におススメです。

個人的なオススメは「EnglishLessons4U」というYouTubeチャンネルです。

このチャンネルではロニーという講師がひたすらに英文法の解説をしているんですが、まず何よりもロニーちゃんの発音が綺麗で聞き取りやすい!

ロニーの動画でディクテーションをすれば、リスニング力を上げられると同時に文法の勉強もできちゃうので、「こんなにお得でいいんですか!?」と感動の涙を禁じ得ないでしょう。

ディズニーが好きな人はディズニー映画がおすすめです。特に『美女と野獣』。

5. とにかく英語で会話しまくる

次に大事なのは、とにかく実際に英語を使って会話してみることです。

前述の通り、学生であれば授業や大学のセンターで、そうでない方は英会話スクール等で積極的に会話してみましょう。

会話する時は、とにかくたくさん間違えてください。

間違えるのは当たり前です。むしろお金を払っているんですから、たくさん間違えてたくさん正しい表現を教えてもらわなければ勿体ないです!

間違えるのが恥ずかしいと思う方もいるかもしれませんが、間違えて恥ずかしい思いをしたときにこそ正しい表現は身に着くものです。

というか、お金払ったのに何も身に着かない方が恥ずかしくないですか……?

まずはたくさんのミスをして、その後「二度と同じ屈辱は味わわねえぞ!」という強い気持ちで学んでください。

そもそもよく勘違いされますが、やる気がなかったり授業の邪魔をしたりする人は別として、間違えた学生に対して怒る教員なんて(超ごく一部を除いて)いません。

むしろ間違いを恐れず伝えようと努力している点や、そこから同じ間違いを繰り返さないよう学習している姿を評価します。

ということで皆さん、とにかくめちゃくちゃいっぱい喋りましょう。

6. どうしても分からない文章はGoogle翻訳に頼る

勉強中、どうしても理解できない英文が出てくることもあるかと思います。

そんな時はもう諦めてGoogle翻訳に頼りましょう。

ひと昔前のGoogle翻訳はネタの対象感が拭えませんでしたが、最近のGoogle翻訳、英語→日本語の翻訳においては割とかなり精度が高いです。

ただしGoogle先生に訳してもらって終わりにせず、なぜそうなるのかを紐解いていきましょう。

大学や英会話スクールの先生に聞いてみるのもいいですね。

とは言ってもGoogle翻訳に頼ってばかりでは全く英語は伸びないので、奥の手だと思ってください。

ちなみにGoogle翻訳さん、日本語→英語はあまり得意ではないようです。

7. 「なんか英語できるようになってきたかも……」と思ったらもう一度テストを受けてみよう

勉強を続けていく内に「あれ……もしかして英語力上がってるんじゃね……?」と思えてきたら、もう一度英語の技能検定試験を受けてみましょう。

金額的にはTOEIC L&Rがオススメですが、「スピーキングとライティングの実力も試したい!」という方は英検やTOEFL、IELTSも良いでしょう。

どのテストを受けるにしても、今度は事前にしっかり対策をしていきます。

それぞれ公式問題集を購入したら、一度解くだけでなく、間違えた問題の解説もしっかり読み込んだ上でもう一度解き、また間違えたところを見直す……という流れで勉強してください。

検定試験のいいところは勉強すればするほど点数が上がって、テンションとモチベーションも上がるというところにあると思うので、ぜひ頑張りましょう!

8. いちばん大事なのは続けること

最後に、いちばん大事なのは何よりも勉強を続けること。

筋肉の話でも言いましたが、外国語は使わない期間が長ければ長いほどその能力が衰えていきます。

大学のイングリッシュ・ラウンジや英会話スクールに通うのはもちろん、日常的に使い続けて基礎力を向上させた後は、半年に一回は海外旅行などをして、英語でコミュニケーションを取る機会を設けてほしいなと思います。

やればやるだけ身に着くのが勉強のいいところ。

ぜひ英語を自分の日常の一部に溶け込ませて、あなたのなりたいあなたに近づいてもらえればと思います!

本ページは2020年3月8日時点での情報です。施設・お店・記事内でご紹介している内容の最新情報については、必ず公式サイト等で、ご確認をお願いいたします。
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