離婚をすると、その後の子どもたちの生活のために、養育費を支払っていく義務があります。
しかし、時が経つにつれ、様々な事情が変化し、支払えない場合だって、十分に考えられます。
ただ、お金がないからといって、取り決めた養育費を払わずにいると、場合によっては、裁判所から連絡がきたり、給料を差し押さえられたりするケースもあります。
どうしても養育費を払えない場合は、減額の交渉をするなどして、しっかり対処し、少しでも支払えるようにしましょう。
目次
そもそも養育費の相場っていくらくらい?
養育費とは、子どもを監護・教育するために必要な費用とされ、経済的・社会的に自立していない子が自立するまでの生活に必要な経費、教育費、医療費などを言います。
一般的には、協議離婚であれば、話し合いで自由に金額を取り決めることができますが、合意ができない場合には、調停で定めることになります。
養育費の相場は、子どもの年齢や人数、養育費を支払う人・受け取る人それぞれの年収などに基づいて、計算されます。
あくまでも目安となりますが、裁判所のホームページに公開されている養育費算定表を使って、算定ができます。
こちらをダウンロードをして、該当する金額を調べてみましょう。
では、養育費算定表を元に、いくつか具体例を出してみたいと思います。
子ども…1名(7歳)
支払う人…年収550万円(給与所得)
受け取る人…年収150万円(給与所得)
⇒月額4~6万円の養育費
子ども…2名(15歳、18歳)
支払う人…年収700万円(自営)
受け取る人…年収120万円(給与所得)
⇒月額12~14万円の養育費
子ども…3名(6歳、12歳、17歳)
支払う人…年収1,200万円(給与所得)
受け取る人…年収50万円
⇒月額20~22万円の養育費
さまざまなケースによって、このように金額が変化します。
未払いのまま滞納し続けていると、どうなるのか?
上に記したように、養育費は決して少ない金額ではありません。多かれ少なかれ、支払う側の生活の負担となるといっても過言ではないでしょう。
とは言え、未払いで相手からの催促があったにも関わらず、払わないでいると、受け取る側は、あらゆる手段を使って、回収しようとしてきます。
1番最初は、内容証明郵便です。内容証明とは、「いつ・誰から誰に・どんな内容で」出された郵便であるか証明できる郵便で、弁護士の名前で送られてくることもあります。
もしも、この郵便が来ても支払わなければ、次は、いよいよ裁判所の手続きをされてしまいます。
一般的に、履行勧告といわれる、手紙・電話などによる裁判所からの連絡がきます。
それでも払わないと、履行命令、そして強制執行による財産差し押さえが行われます。
強制執行をされると、給料の差し押さえをされてしまうので、そうならないように、早めに支払いを済ませましょう。
公正証書の有無などで、少し流れが違う場合がありますが、どちらにせよ、大きなトラブルになることは間違いありません。
解決策①直接、相手に減額交渉をする
別れた相手なので、顔を合わせて、冷静に話ができない場合が多いかもしれませんが、もし可能なら、直接、減額してもらえないか、交渉をしましょう。
裁判所も弁護士も介入しないので、この方法で減額ができれば、1番いい方法と言えるのではないでしょうか。
ただし、相手に自分の状況を伝え、合意が得られないことには、減額はできません。
例えば「再婚して家族が増えた」「病気になって失業してしまった」「会社の給料を減らされてしまった」など、相手の理解が得られる理由を説明する必要があります。
また、お互いに合意をし、支払い金額・支払い方法を見直した後は、必ず法的な効力のある公正証書にしておきましょう。
口約束や私文書だけだと、言った言わないで揉めがちですが、公正証書にすることで、後々のトラブルを防ぐことができます。
解決策②家庭裁判所に、養育費減額調停を申し立てる
環境が変わり、養育費の支払いが難しくなった場合は、減額を請求することができます。
調停の場で、現在の経済状況などを考慮した新たな養育費の金額設定をしてもらうのです。当初、口約束で金額を決めていた場合でも、公正証書で決めていた場合も、どちらも申し立てることができます。
減額が認められる場合
支払う側が、リストラや病気などの理由によって、収入が大きく減った
怪我や病気で働けなくなった、会社の倒産によって解雇されたなど、失業による収入の変化があった場合には、養育費の減額をすることができます。やはり、無い袖は振れないですからね。
受け取る側が、離婚時には無職だったが、その後、就職して収入が増えた
親権者の収入が増えれば、養育費を減らすことも可能です。
受け取る側に、子どものために使える収入が十分にあれば、今まで通りの金額を支払わなくてもいいということです。
支払う側が、再婚したことによって、扶養する家族が増えた
支払う側が再婚して妻を養わなければならない、あるいは再婚相手との間に新たに子どもが生まれた、再婚相手に連れ子がいたなど、扶養する家族が増えた場合には、養育費の減額ができます。
ただし、再婚したからといって、子どもの親であることには違いありませんので、支払い義務がなくなることはありません。
受け取る側が、再婚をして、再婚相手と子どもが養子縁組をした
受け取る側が再婚かつ子どもと養子縁組をして、親子関係が生まれれば、基本的には、再婚相手に子どもの扶養義務が移ります。
そのため、これまで払っていた養育費の減額や免除が行われる可能性があります。
ただし、再婚をしても養子縁組をしない、または再婚相手に扶養する能力がないなどの場合には、減額が認められないでしょう。
養育費は、子どもの生活のために支払っていくものであり、よほどの理由がない限り、そう簡単には、減額が認められません。
もちろん「ギャンブルで借金が膨らんだから、支払えない」「子どもと一緒に暮らしていないのだから、支払いたくない」という身勝手な理由は、通りません。
減額することによる子どもへの影響が少なくないわけではないことを、忘れないでくださいね。
解決策③親や友人に相談して、お金を借りる
話しにくいかもしれませんが、養育費が払えないということを、親や友人に、正直に相談してみましょう。
もちろん、毎月借りて払い続けるということはできませんが、一時的な補填であれば、借りられるかもしれません。
また、これを機に、実家暮らしに戻ることで、生活費を抑え、養育費にお金を回すということも、考えてみてはいかがでしょうか。
解決策④副業をしたり、不用品を売ったりして、お金を稼ぐ
手っ取り早く稼ぐ方法は、即日払いの日雇いバイトをしたり、貴金属・ブランド物を売ったりするなどをして、お金を作ることです。
また、お金を稼ぐと同時に、普段の生活の中で、節約を徹底するようにするといいでしょう。
解決策⑤キャッシング・カードローンを利用する
今はお金がないけれど、給料が入れば、支払えるという場合には、キャッシング・カードローンの利用も有効です。
もちろん、借金をするというわけですが、ある程度、返済できる目安がついていれば、お金を借りて、給料が入り次第、返すといいでしょう。
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養育費を払えない時の5つの解決策まとめ
子どものためにも、1番やってはいけないことは、支払いを完全にストップさせてしまうことです。
もしも、支払いたい気持ちはあるけれどお金がないという方は、減額を請求して、少しずつでも、払えるようにしましょう。
ただし、相手の合意なしに、減額することはできませんので、ご注意ください。
また、本当は離婚をする前に、養育費について「こういう場合はこうする」という細かい取り決めをしておくことができれば、それ以上のことはありませんが、ほとんどの場合が、そこまでの話し合いをしていません。
しかし、養育費が支払えない状況になっても、解決策は存在しますので、慌てないでくださいね。